「著作権」という言葉はよく聞くけれど、じゃあ「著作物」「著作者」との違いは?と聞かれると、意外と答えに詰まるものです。
3つの言葉の意味を順番に整理してみます。
著作物とは:「思いや気持ちを、自分らしく表現したもの」
法律上、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したもの」とされています。
とても大事なところなので著作権法の条文を見てみましょう。著作権法第2条第1項第1号には、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と書かれています。
これをかみ砕くと、こういうことになります。
- 思想または感情:単なる事実の記録ではなく、そこに書き手・作り手の考えや気持ちが乗っていること
- 創作的:その人らしさ、個性が多少なりとも表れていること(誰が作っても同じになるものは対象外)
- 表現したもの:頭の中のアイデアや技法そのものではなく、絵・文章・音楽など、形になっていること
たとえば、他人の作品をそっくりそのまま模写したものは、いくら精巧でも「複製」であって、新しい著作物にはなりません。
一方で、子どもが描いた絵も、拙いブログ記事も、そこにその人なりの表現があれば、立派な著作物です。
著作者とは:「その著作物を創った人」
著作者とは、文字通りその著作物を創作した人のことです。
依頼を受けて描いた場合でも、実際に手を動かして創作した人が著作者になるのが原則です(この「原則」が、業務委託やクライアントワークでトラブルになりがちなポイントでもあります)。
著作権とは:「著作者に自動的に与えられる権利」
著作権とは、著作者が自分の著作物を、他人に無断でコピーされたり、ネットに転載されたりしない権利のことです。
ここで大事なのは、この権利は「作った瞬間」に自動的に発生するということ。
役所への届け出も、申請も、一切必要ありません。
つまり、
- 著作物 = 生まれた作品そのもの
- 著作者 = それを生み出した人
- 著作権 = 著作者に自動的に与えられる、作品を守る権利
という関係になっています。
ちなみに最初にご紹介した著作権法の条文のような、憲法や法律、条令などのいわゆる「法令」と呼ばれるものは、「著作物だけど、著作権保護の対象外」であり、だれでも自由に利用することができます。
これは、法令の性質上、広くみんなが知る必要があるからです。
「著作権登録」という制度もある
ここまでの通り、著作権は手続きなしで発生する権利です。
ただ、実は「著作権登録制度」というものも別に存在します。
これは権利を新たに得るための手続きではなく、「いつ・誰が作ったか」を公的に記録しておくための制度です。
盗用トラブルの証拠づくりや、権利の譲渡・売買の場面で役立つことがあります。
「登録は必須ではないけれど、知っておくと安心な制度」——このあたりは、また別の記事で詳しくご紹介します。
「これって著作物になるのかな?」「この場合、著作者は誰になる?」——判断に迷ったときは、まずはご相談ください。
