前回は、クリエイターからよく聞かれる
「これって経費になりますか?」
というお話をしました。
今回は、その続きです。
海外のクライアントやプラットフォームから報酬を受け取っているクリエイターの場合、
「海外からお金が入ってきたけれど、これってどう記帳するの?」
という別の疑問が出てきます。
ドルやユーロなどの外貨で報酬を受け取っていると、円で取引している場合とは少し違うところがあります。
今回は、実際に相談を受けたケースも交えながらご紹介します。
海外からの入金、まず何を考える?
海外のクライアントやプラットフォームから報酬を受け取った場合でも、
「海外から入金されたから、特別な所得になる」
というわけではありません。
まずは、何のために受け取ったお金なのかを整理することが大切です。
クリエイターが海外のクライアントから制作報酬を受け取ったのであれば、それは基本的に、そのクリエイターの事業に関する収入として考えることになります。
そして外貨で取引している場合には、円換算という問題が出てきます。
為替差損益って何?
たとえば、100ドルの報酬を受け取ったとします。
報酬が発生したときと、実際に日本円に交換したときでは、為替レートが変わっているかもしれません。
その差によって生じるのが、いわゆる為替差損益です。
外貨建ての取引については、原則として取引時の為替相場によって円換算して収入などを計算し、その後の決済時との差額が為替差損益になるという考え方があります。
……と書くと、急に難しくなってきましたね。
実際、このあたりは記帳するときに悩みやすいところです。
実際に税務署へ聞いてみたら……
以前、海外からの入金について税務署に確認したことがあります。
そのとき、
「このくらいの金額であれば、振込日・振込額で収益として処理してもいいですよ」
という趣旨の回答をいただきました。
「このくらい?」
……ここが、ちょっと悩ましいところです。
「このくらいって、どのくらい?」
という疑問が残りますよね。
ちなみに、そのとき相談していたケースでは、海外からの振り込みが1回あたり最大25万円程度でした。
だからといって、
「25万円までなら必ずこの処理でOK」
という意味ではありません。
これはあくまで、そのときの具体的な相談事例としての参考です。
外貨建取引については、取引の内容や時期、契約などによって考える必要があります。
「○万円までなら大丈夫」という単純な線引きがあるわけではないので、ここもやっぱり、
ケースバイケースです。
となります。
海外からの入金は、銀行から確認されることも
もう一つ、実際に海外からの入金を受けている人に知っておいてほしいことがあります。
銀行から、
「この入金について確認したい」
という照会が来ることがあります。
金融機関では、マネーロンダリングや金融犯罪などを防ぐため、取引目的や職業、事業内容などについて確認を行うことがあります。取引の内容によっては、追加の資料や説明を求められる場合もあります。
私自身も、海外からの入金について銀行から確認を受けたケースを知っています。
なかなか物々しい文章で連絡が来るので、最初は少しびっくりするかもしれません。
でも、金融機関が行っている確認は、マネロン等対策の一環として一般的に行われているものです。
場合によっては、身分証明書を持って窓口へ行き、
「どんな仕事をしているのか」
「この入金は何なのか」
といったことを説明することになります。
海外のクライアントやプラットフォームと継続的に取引しているクリエイターなら、
「海外から入金があると、こういう確認を求められることもある」
と知っておくだけでも、いざというときに少し落ち着いて対応できると思います。
なお、国外への送金や国外からの受領については、金融機関から税務署へ「国外送金等調書」が提出される制度もあります。原則として100万円を超える国外への送金・国外からの受領が対象です。これは「怪しいから報告される」というものではなく、制度として金融機関に提出が求められているものです。
海外案件こそ、記録を残しておく
海外からの入金がある場合は、
- いつ報酬が発生したのか
- 何の報酬なのか
- 外貨でいくらなのか
- いつ入金されたのか
- いくら日本円になったのか
- どのような為替レートで処理したのか
といった情報が後から確認できるようにしておくと安心です。
契約書や請求書、プラットフォームの売上明細、銀行の入出金明細なども、きちんと保管しておきましょう。
海外案件が増えてくると、
「入金はあったけど、これどう帳簿に入れるんだろう?」
ということも増えてきます。
そんなときに大切なのは、「とりあえず入金額だけ記録しておく」ではなく、そのお金が何なのかを整理しておくことです。
「これ、どう処理すればいい?」からでも大丈夫です
海外からの入金に限らず、クリエイターのお金まわりは、
「ネットで調べれば答えが出そうだけど、自分の場合はどうなんだろう?」
ということが意外と多いものです。
前回の経費の話もそうでした。そして今回の海外からの入金もそうです。
情報そのものは、今なら簡単に見つけられます。
でも、
「自分の場合、結局どうすればいい?」
となったところで、一人で悩んでしまう。
そんなときは、まず状況を整理してみましょう。
当事務所では、クリエイターの記帳や事業運営に関するサポートを行っています。
税務上の判断など、税理士の専門業務が必要な場合には、適切な専門家につなぐこともできます。
「海外からお金が入ってきたけれど、何をどう処理すればいいのかわからない」
そんな段階からでも、お気軽にご相談ください。
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クリエイターの方の、記帳・契約・著作権・事業運営などのご相談を承っています。
海外クライアントやプラットフォームからの入金について、「どう記帳すればいいかわからない」という段階からでもご相談いただけます。
