「利用規約に同意する」を押したら契約成立?

ネットショップ・サービスを始める前に知っておきたいこと

ネットショップで買い物をするとき。

オンライン講座やファンクラブに申し込むとき。

「利用規約に同意する」というチェックボックスを見かけますよね。

ふだんは深く考えずにチェックを入れて、「購入する」ボタンを押していると思います。

では、このとき法的には何が起きているのでしょうか?

今回は、有料コンテンツやグッズ販売、ファンクラブなどを始める「運営する側」の目線で、利用規約と契約の関係を整理します。

ネットで申し込んだとき、契約はいつ成立するの?

契約は、申込みと承諾が合致したときに成立します。これはネットでも同じです。

ネットショップでは一般に、お客様の注文が「申込み」、ショップ側の受注が「承諾」にあたります。

そして承諾の連絡は、相手に届いた時点で効力が生じます。

問題は、どの時点を「承諾」とするかです。

たとえば、

  • 注文直後の自動返信メールは「受付の確認」にすぎない
  • 発送のご連絡をもって契約成立とする

というように、成立のタイミングを利用規約や画面の案内であらかじめ決めておくショップも多くあります。

在庫切れや価格の表示ミスがあったときの対応にも関わるので、運営する側は一度決めておきたいポイントです。

利用規約に「同意する」を押すと、規約の中身まで契約になる?

一定の条件を満たせば、なります。

ネットショップやオンラインサービスの利用規約のように、多くの人との取引に共通して使うルールは、民法で「定型約款(ていけいやっかん)」と呼ばれています。

民法548条の2では、

  • 定型約款を契約の内容とすることに合意したとき
  • または、あらかじめ「この定型約款が契約の内容になります」と相手に示していたとき

には、規約の個々の条項にも合意したものとみなされます。

つまり、利用者が細かい条項まで読んでいなかったとしても、規約の内容が契約の中身になりうるということです。

規約をページの隅に置いておくだけでも有効?

ここは運営する側が気をつけたいところです。

サイトの一番下に「利用規約」のリンクを置いておくだけでは、「あらかじめ相手に示していた」とはいえない可能性があります。

単にホームページで公表しているだけでは足りず、申込みの流れの中で「この規約が契約の内容になります」と示すことが求められる、と考えられているためです。

(鉄道の運送約款のように、法律で「公表」だけで足りるとされている特別な例もあります。)

チェックボックスは法律で必須とされているわけではありませんが、「同意した」ことをはっきり記録に残せるので、よく使われている方法です。

たとえば、次のような設計にしておくと安心です。

  • 申込みボタンの近くに、利用規約へのリンクをわかりやすく置く
  • 申込みの前に、規約の全文を確認できるようにする
  • 「利用規約に同意する」にチェックを入れないと、次へ進めないようにする

また、消費者との契約では、事業者は契約の内容が明確で平易なものになるよう配慮することが、消費者契約法で求められています。

規約に何を書いても通用する?

いいえ、そうではありません。

民法では、利用者の権利を制限したり義務を重くしたりする条項のうち、取引の実情などに照らして利用者の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなされます。

さらに消費者との契約では、消費者契約法によって無効になる条項もあります。

たとえば、「当社はいかなる場合も一切の損害賠償責任を負いません」のように、事業者の責任を全部免除する条項は無効です。

自分に有利なように、とにかく厳しい規約を作ればいい、というものではないんですね。

「このサービスで、どんなトラブルが起こりそうか」を具体的に考えて、それに合ったルールを書くことを心がけましょう。

利用規約は、後から自由に変更できる?

一度サービスを始めたら、事業者が好きなタイミングで自由に変えられるわけではありません。

民法548条の4では、利用者の一般的な利益に合う変更や、変更の必要性・内容の相当性などから見て合理的な変更である場合などに限って、個別の同意なしに変更できるとされています。

また、変更する内容や効力が生じる時期を、インターネットなどで周知する必要があります。

規約は作って終わりではなく、「変えるときにどうするか」まで考えておくといいですね。

「間違えて注文した」はどうなる?

「1個のつもりが11個になっていた」

「違う商品を選んだまま、購入ボタンを押してしまった」

こうした操作ミスについては、電子消費者契約法にルールがあります。

本来、大きな不注意による勘違いは、取り消せないのが原則です。

でも、事業者が申込み内容の確認画面などを用意していなかった場合には、消費者の操作ミスによる申込みは、大きな不注意があっても取り消せることになっています。

また、特定商取引法でも、通信販売の最終確認画面に、分量や代金、申込みの期限などを表示することが求められています。

運営する側にとっては、利用規約だけでなく「申込み画面の流れ」も、契約まわりの大事なポイントです。

利用規約づくりは「自分のサービスのルールを整理すること」

利用規約というと、長い法律の文章をサイトに載せるもの、というイメージがあるかもしれません。

でも実際には、

  • どんなサービスを、誰に、いくらで提供するのか
  • いつ契約が成立するのか
  • キャンセルや返金はどうするのか
  • トラブルが起きたらどうするのか
  • どの画面で規約を示し、どうやって同意してもらうのか

を一つずつ決めていく作業です。

つまり利用規約づくりは、文章を書く仕事というより、自分のサービスのルールを整理する仕事なんです。

ネット上のひな形をそのまま使うのではなく、自分のサービスに合わせて整えておくと、お客様にも自分にも安心材料になりますね。

参考


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有料コンテンツの販売、オンライン講座、ファンクラブ、グッズ販売など、新しくサービスを始めるときの利用規約づくりや、申込み画面・特定商取引法の表記の確認をサポートしています。

「そもそも何を決めればいいのかわからない」という段階からでも大丈夫です。一緒に整理していきましょう。

※すでにトラブルになっていて、相手方との交渉が必要な場合は、弁護士へのご相談をおすすめしています。

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